カステラづくりの心

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福砂屋のカステラづくり

福砂屋の工夫 その一 伝統の味と製法を守りミキサーを使わない「手わざ」にこだわる


寛永元年(1624年)の創業以来、一貫して不変のものがあります。手づくりによる製法です。その支柱となるものが職人の「手わざ」です。永い時の積み重ねの内に鍛え抜いて会得した技術と言えるものです。

卵の手割りに始まり、泡立て、混合、撹拌、釜入れ、焼き上げまで、ひとりの職人が一貫して責任を持ちます。

時代の逆を行くこのような手間のかけ方こそが、ふっくら、しっとりとした福砂屋独特の食感、コクのある甘みと風味を生み出します。

福砂屋のカステラは全国のお客様にご愛顧頂いております。長崎本店多良見工場、大村工場、東京工場、福岡工場全ての工場では今も尚、ミキサーを使わない職人による熟練の“手わざ”を守り続けております。

  • 福砂屋の手わざムービー

【福砂屋のカステラに見るカステラ作りの流れ】

南蛮渡来の風味をもとに、長い歳月を重ねて創意工夫され、日本人の味覚にしっとりとなじむように育まれた“和菓子=カステラ”の工程をご紹介します。

1、白身を撹拌する。

 別立法を用います。

2、黄身とザラメ糖を加えて撹拌する。

 鍛えられた職人の感と「手わざ」が求められる作業です。

3、上白糖を加えて撹拌する。

 水飴(米飴)を加えて攪拌する。

4、最後に小麦粉を加えて混合撹拌をする。

 このように順次、素材を加えて、それぞれ丹念に撹拌していきます。

5、紙を敷いた木枠に生地を流し込む。

 季節や天候などによって温度や湿度も微妙に異なってくるので、それに合わせた生地づくりがなによりも大切になるわけです。

6、焼き上がり

 焼き上げてからは、カステラを板にのせ、温度、湿度が管理された製品倉庫で一昼夜成熟させ、甘みの戻りと言って、さらに甘みとコクを引き出していきます。その後、厳しい検査を経て、おいしさを衛生的に包装し、製品から商品となり店頭に並びます。
 焼き立てカステラは決して美味しいものではありません。

7、完成

 1624年、寛永元年創業という歴史の重みを受け継いだ、伝統の味わいはこうした「手わざ」によって守られています。

福砂屋の工夫 その二 福砂屋の厳選素材と、卵への思い


●卵

●小麦粉

●砂糖(上白糖)

●砂糖(双目<ザラメ>糖)

●水飴(米飴)

※蜂蜜は使用しておりません。

いずれも精選吟味した添加物を一切使用しない厳選材料を用いています。このシンプルな素材を生かすのが、長年受け継がれてきた、妥協を許さない職人の「手わざ」だといえるでしょう。

また、素材の中でも、卵には、格別のこだわりがあります。生産から保管管理、季節ごとの色、白身の状態に合った技術などあらゆる英知をそそいでおります。

お気づきでしょうか。水、ミルク、添加物は一切使用しておりません。

明治時代、十二代清太郎の時に、『特製五三焼カステラ』を創案。十三代為三郎の時には、特製カステラ『白菊』『黄菊』が考案されました。卵の配合を変え、高度な技術から生まれる至高のカステラであり、この事は福砂屋の卵にかける情熱を物語っています。また毎年、菩提寺の正覚寺では、社員全員で卵に感謝する「卵供養」の法要を行なっております。

福砂屋の工夫 その三 ふっくら、しっとりの仕上がりを生み出す「別立法」


カステラ独特の、ふっくら、しっとりとした食感をもたらすのが、卵の入念な泡立てと撹拌です。

泡立ての方法には、共立法(ともだてほう)と別立法(べつだてほう)があります。共立法はミキサーで白身と黄身、その他の材料も一緒に撹拌する方法です。

別立法とは卵を手割りで黄身と白身に分け、職人の手によってまず、白身だけを細心の注意を払い充分に撹拌し、そのあとに、黄身と双目糖を加えてさらに泡を生かしながら撹拌するという手間をかけた方法を言います。

福砂屋は、カステラ一筋にこの別立法を古くから確立し、今も守り続けています。洋菓子スタイルのスポンジケーキの様なミキサーによる共立法の撹拌では決して出来ない、別立法による手だてならではの美しい気泡が、ふっくら・しっとりとしたカステラを生み出すからです。

福砂屋の工夫 その四 カステラの底に双目糖(ザラメ)が残る福砂屋のカステラ


古くからの長崎カステラの特長のひとつに、カステラの底の方に感じる、かすかに歯にあたるシャリッとした口当たりがあります。これは、生地の底に残る角の取れたザラメ糖の感触です。

材料を撹拌するときに、ザラメ糖の角をすり減らしながら、生地になじませるという技術によるもので、その一部を沈殿させて残すという手作りならではの方法だといえます。季節や温度の具合によって、ザラメ糖がカステラに溶け込んでしまう場合もありますので熟練を要する技術です。

ベテランの職人はこう話します。「撹拌する際、シャリッというザラメの音がかすかにします。この音を聞きながら、長年のカンで混ぜ加減を調節します。ザラメが全然溶けないのもいけないし、溶けすぎてもいけない。ザラメ糖がすり減らされながらも、カステラの底に残るように努めています。生地作りが全てといっても過言ではありません。おいしさにこだわる事が私たちの誇りです」と。溶けたザラメ糖はコクにつながり、上品な甘味へ変わり、角を磨り減らされて底に残ったザラメは心地良い口あたりを伝えます。他社の様にザラメ糖を蒔いた上に生地を流し込む製法とは根本より異なる独特の食感が職人の手によって生み出されます。

一釜一釜、熟練の職人が技と勘で仕上げますので一釜一釜厳密に言うと味・色など異なります。「ふっくら、しっとり、最後にシャリッ」という独特の感触、コクのある甘みと懐かしい風味を角がすり減らせたザラメから感じてください。長崎カステラの伝統の味わいを、福砂屋は手作りで伝え続けています。

季節ごとの気温、湿度の変化に対応して、ザラメ糖の製造にも工夫をこらし、その材料と供に撹拌においても工夫変化を、職人が細心の注意を払う努力をしておりますが、焼き上げ後、底に残るザラメ糖が季節によっては、製品内の糖水分、お客様の保管状態など外気温の影響で次第に溶けてなくなる事もございます。何卒ご了承ください。